調べてみました②「スロベニア」

先日、義両親がスロベニアに行きました。
帰国後に写真を見せてもらい、とても美しい国だとわかりましたが、スロベニアについて何も知らないなぁと思い、せっかくなので調べてみました。
まず国内情勢や外交姿勢です。ロシアとウクライナのこともありますので、知らない国を旅行するなら気になる点かと思います。
スロベニアは、最近サッカーで注目されたクロアチアをはじめ、イタリア、オーストリア、ハンガリーと国境を接しています。
旧ユーゴスラビアから独立し1991年に成立した若い国ですが、工業化が進み、経済面では東欧諸国と比較して競争力は高いようです。
金融市場や労働市場の効率性では制度面から課題が残るものの、研究開発にも積極的で前向きな国の印象を受けました。
政治では、今年、中道左派の自由運動党が第一党となり、親EU・脱炭素に向かうとみられています。
また、直近では女性初の大統領も誕生しました。
ちなみにトランプ前大統領夫人のメラニア氏もスロベニア出身。同国の新大統領はメラニア夫人の弁護士だったとのことです。

さて、ここからは私の妄想旅行です。…
滞在場所は、首都でなく、首都リュブリャナ発のバスで約1時間20分、ブレッド湖の周辺です。
氷河によって生まれたブレッド湖――湖のほとりにはブレッド城があり、湖の中には美しい教会を携えたブレッド島があります。
その美しさから「アルプスの瞳」と称されているとのことです。
ブレッド湖名物の「Blejska kremna rezina」と表記される、ブレッドクリームケーキは湖近くのカフェで必ず食べたいですね。
ホテルはグランドホテルトプリッツェ。
美しい湖を堪能できるホテルでありながら、館内には温泉、サウナ、マッサージサービスが利用できるウェルネスセンターもあるという、日本人にはたまらないホテルです。
同国は複数の魅力あふれる国々と国境を接していますが、せかせかせずにただ湖にたゆたうように、過ごしたいーーー

調べ出すと、そんな妄想が止まらなくなるロマンティックな国でした。

おすすめの映画or書籍②『グリーンブック』

最近『グリーンブック』という映画を見ました。
主人公は、NYの高級ナイトクラブに勤務していましたが、閉店の折に、トラブル対応力(要は喧嘩騒ぎに活躍する腕っぷし)が買われ、有名な黒人男性ピアニストのSPとしてアメリカ南部へのツアーに同行する仕事が舞い込みます。
主人公は黒人への負の感情を隠し切れないまま、生活のために同行を決心し、物語が進んでいきます。
主人公はイタリア系の労働者階級です。他の欧州系移民と比べ、差別を受けやすい歴史がありました。
隠し切れない満たされなさから、激しい性格ですぐ暴力に頼るところ以外は、家庭を持ち、家族は守る保守的な男性です。
対して、主人公が護衛する黒人ピアニストは、高い音楽教育を受け、そのまま成功した裕福な人物です。
表面的には教養と理性から非常に穏やかでスマートな振る舞いをしますが、同性を愛するが故、女性との結婚はうまくいかず、孤独を自負する人物です。
立場と社会性は真逆な2人ですが、共にアイデンティティに関し複雑な感情を抱えています。
単なるロードムービーでなく、当時の異常な社会、2人の心の成長と美しい友情が描かれている後味の良い映画です。

差別問題といえば、インドのカースト制度を連想される方も多いのではないでしょうか。(極めて良くない言葉ですが、'スクールカースト'’ママカースト'なんて言葉で一般化している気がします)
独立後も依然社会に残っていることで有名ですが、1983-2004年におけるアメリカにおける黒人と白人の賃金格差の是正は、同時期のインドにおける被差別カーストと上位カーストの賃金格差の是正よりも進んでいなかったようです。 (注1)昨今のアメリカを見ていても、差別問題がグリーンブックで描かれている時代から大きく進歩したようには見えません。
グリーンブックは、感動と共に、とても考えさせられる映画でもありました。
(注1:156P, アビジット・V・バナジーとエステル・デュロフ共著『絶望を希望に変える経済学』)

調べてみましたシリーズ①~「ナッジ(Nudge)」編

「ナッジ」という言葉をご存じでしょうか。
芸人バナナマンさんが出演する住友生命VitalityのCMでそんなワードをお聞きになった方もいるのではないでしょうか。
ナッジについて少し学んでみました。
元来英語で「ひじでつつく」を意味し、ノーベル経済学賞を受賞したセイラー教授らに「選択を禁じることも、経済的なインセンティブを大きく変えずに、自発的な意思決定を促す視覚的な工夫やメッセージ」(※一部言い回しを変更しています)と再定義され、行動科学のアイディアとして用いられはじめたようです。

ナッジ自体は、すでに日常に溢れています。
たとえばインターネットで会員登録をするとき「メルマガの配信を希望します」のチェックボックスがあらかじめチェックされたままになっていて、
よほど不要でなければそのままにします。
これがもし、チェックボックスを自ら入れなければいけない場合、
「どちらでもよい」程度であれば、わざわざチェックをつけませんよね。
あるいは、もし自分がどうしてもワクチンを受けたくない人だとしたら、国民の7割が接種済みと言われるより、
「あなたの母校の卒業生7割が接種済」と言われるほうが受けなきゃと思うかもしれません。
これもナッジです。

経済学では、人は合理的に判断し、無料で自分にとってよい何か(たとえばワクチンや価値の高い情報)をもらえたり、金銭をもらえたりするのであれば、
取るに足らない手間は惜しまないはず…といった考えが前提となりますが、
実際は「面倒」「不信感」といったなんとなくの感情がネックとなって、良い選択や行動を取れません。
それに対して、ナッジは、あまりお金をかけずに、誰も傷つけず、良い行いを取らせることを可能にさせるため、福祉政策と相性がよく、
イギリスを発端として日本の行政、あるいは民間企業のマーケターも注目しているアイディアのようです。

日常や街中で「これもナッジかな?」と探してみると面白いかもしれません。

おすすめの映画or書籍①『絶望を希望に変える経済学』

最近スーパーに行っても物価高を感じますよね…一般消費者の立場からすると10円でも安く買いたいので、悔しいです(笑)。

報道ニュースでは、物価高によって悪影響を受けている方々の切実な声も耳にします。
一方、他国と比べて、日本はモノの値段が安いことも取りざたされ、物価高を許容し、日本の継続的な経済成長に資本を投じていくべきといった考えも聞きます。
先日の選挙も経済政策に関する論点は「物価高の是正」VS「賃上げ環境を整える成長戦略」でしたね。

では、そもそも(仮に教育・投資・汚職・不平等・文化・宗教といったバイアスとなる様々な要素が変わらないことを前提としても、)‘継続的’に機能し続ける成長戦略はあるのでしょうか。
ノーベル経済学賞受賞したアビジット・V・バナジーとエステル・デュロフ共著の『絶望を希望に変える経済学』という本を読んでみました。
本のタイトルが今の日本にぴったりで、思わず手に取りました。
経済学の歴史の中で有名なモデルはたくさんあるものの、残念なことに経済が停滞しないようにする‘処方箋’はまだないようです。
ですが、著者らはその事実を突きつけたかったのではありません。
「最終目標はGDPを増やすことでなく、平均的な市民の、そしてとりわけ最貧層の生活の質を上げることだ。」(注1)と述べ、生活の質を上げるとは、消費を増やすことでなく、「自分は見捨てられた、価値を認められていない」といった感覚をなくすことだと言っています。

日本の現状に立ち返ります。
突然やってきた物価高。でも物価高はきっかけに過ぎず、それよりも前からおいてけぼりにされた気持ちの方々がいる社会が問題なんだと感じました。
どちらの方向に舵を切るとしても、そういった方々の尊厳を守ることを目標とし、民間が当たり前にやっているマーケティングのように、救うべき方々の人物像を決めつけることなく正しく描くことが大事です。
データ分析から実行、そして一般市民へのプレゼンテーションまで、
その目標からブレが生じないように産官学連携していってくれることを期待したいですね。
(注1:297P, アビジット・V・バナジーとエステル・デュロフ共著『絶望を希望に変える経済学』)